被介護者に対する食事介護のポイント

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健康維持のためには栄養を摂ることが必要になります。また、食事は単調な生活を過ごす利用者にとって良い刺激となり、生活のリズム作りに役立てることができます。

美味しく食事をすることが出来れば、日常生活における生きがい、楽しみともなります。食事を摂る行為は、社会生活のなかで仲間や知り合いなどと一緒であることが普通で、食卓を囲むことが人との交流の場として意味をもつことが多いものです。安全に美味しく食べて心身ともに健康に過ごせるように介護することが大切です。

介護における食事の時間

食事する時間を決め、同じ場所で同じ食器で食事ができるように配慮します。特に認知症の症状を持つ利用者には、十分配慮しなければなりません。普段の生活習慣を崩さないようにします。配膳は、利用者に認識してもらいやすいように、毎回同じように並べます。食事を美味しく食べてもらうために、温かい食べ物は冷めないうちに、冷たい食べ物は冷たいうちに配膳ができるよう配慮することが必要です。

次に、食事前と食事後に確認するするポイントをご紹介します

介護現場で食事前に確認するポイント

1. 食事習慣の確認
量や嗜好などを確認し、利用者の生活習慣を崩さないようにします。

2. 食事制限の確認
持病のある方の場合には食事制限のある場合があります。塩分や水分、禁止の食材などがないか確認します。職員の方でも留意して配膳する必要があります。

3. 身体機能の確認
麻痺の状態、嚥下や咀嚼の状態、義歯、口腔内の状態などを把握しておきます。また、人体機能は日々変化します。体調や病状によってはいつもと様子が違うこともあります。「いつもと違う」ということを敏感に察知できるよう、日頃の様子を観察する習慣をつけておくとよいでしょう。

介護現場で食事後に確認するポイント

1.食後に薬を飲む方には与薬します。
与薬については介護者が決して忘れないようなシステムを作らなければなりません。

2. 使用した物品等の片づけ
使用したエプロン、タオルなどを集めて洗います。汚れのひどい物などは汚れを軽く落として水につけておくと汚れが落ちやすくなります。“家政学”の分野はこのような場面で役立ちますので参考にしてください。

3. 食後視察
食後に体調不良を起こす場合もあるため、異常が見られないか留意・観察しておきます。特に異常等がみられないことを確認したうえで、本人がリラックスできる姿で過ごしてもらいます。

4. 記録と報告
食事中の視察をもとに食事状況を記録し、気付いたことがあれば家族または医療関係者に報告します。

介護における基本的な食事の手順

手順に従って利用者(被介護者)に言葉かけを行い、できない部分だけを介助します。

1. 介護者は手を洗います。
2. 利用者の手は洗うかおしぼりで拭き、口の中が粘々としたり、異臭のある時は口をすすぐようすすめます。
3. 献立を説明します、
4. 最初に汁物や飲み物などでのどを潤すよう助言します。
5. 介護者は誤嚥にならないように視察しますが、監視にならないように注意します。
6. 食事の摂取量が少ないことがあります。気になる場合には、無理には勧めずに原因を考えます。ご本人の様子に合わせて介助して勧めることも有効ですが、無理な介助にならないように心がけましょう。 1回の食事時間は30~40分くらいが目安です。
7. 食事が終了したら、うがい、歯磨き、義歯の手入れなどを援助します。

利用者の食堂への移動の優先順位

いつもと同じ時間に食事ができるように、認知症の症状がある方を優先して食堂へ移動していきます。その次に片麻痺がある方や視覚障害がある方を移動していきます。移動するのに時間がある程度必要とされるからです。食事の時に、しっかり目覚めていない方に食事を勧めると、誤嚥を引き起こす可能性があるため、完全に目が覚めてから食事を始めます。

利用者の身体状態に応じた食事のすすめ方

・臥位で全面介助する場合
献立を食欲がそそるように説明し、目で確認してもらいます。食べたい順番を確かめながら勧めますが、できるだけ主食、おかず、汁物を交互に勧め、みんな一緒に食べるようにします。口を開けるタイミングがわかるように食べ物を取って口に運ぶ動作をできるだけ相手の視野の中で行います。

箸やスプーンは歯や歯茎に接触しないようにしましょう。声掛けをしながら、飲み込んだことを確認して次を勧めます。途中でむせたら、少し休んでから開始します。

・麻痺がある場合
口の中に食べ物が溜まりやすいので、一度に入れる量を少なくします。食べ物は麻痺のない口の端から入れるようにします。

・視覚障害がある場合
必ず声掛けをしてから行います。食器の位置と輪郭を確認すると同時に、食べ物のイメージをつかめるように食事の内容を細かく説明します。

また、クロックポジションといって、配膳盆を時計の文字盤と考えて、例えば「12時の方向に湯のみがあります」と説明することもあります。熱いものは手の甲で温度を確認し、やけどしないように注意します。言葉をかけながら食事をすすめ、できない部分を補います。

以上、食事介助に関するポイントをまとめました。食事介助においては、ただ単に利用者に機械的に食事を与えるのではなく、その方の家族になった気持ちで、上記のポイントを一つひとつ押さえながら行うようにしましょう。

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