高齢者入浴介助の心得 ~注意点と手順~

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入浴は体を清潔にし、血行を良くし、気持ちもリラックスさせてくれます。しかし、体調によっては血圧が上がったり、思った以上に体力を消耗したりすることもあります。また、高齢者の場合はそれがもとで、転倒等の事故が起こってしまうこともあります。

入浴の目的

入浴の第一の目的は体を清潔に保つことといえますが、同時に血行をよくし、新陳代謝を促進することで健康な体を維持につながります。また疾患をお持ちの方にとっては症状を悪化させない効果もあります。

入浴は体を温めることで、ほどよい疲労感と安心感をもたらし、夜間の安眠に繋がることもあります。

また、褥瘡(じょくそう)のある方にとっても、入浴は身体を清潔にして、血行を良くする効果があります。それにより、褥瘡の改善も期待できます。褥瘡があるから入浴できないという事は、特殊な場合を除きありません。

拘縮(こうしゅく)の方には温かいお湯の中で、マッサージすることにより、可動域の拡大に繋げることが期待できます。筋肉の拘縮が緩み、浮力の働きで筋肉の負担も減らすことができますから、とても効果があります。

入浴時に利用者の体を何気なく目にすることで、発赤など体の変化の早期発見ができます。発赤の原因を考えて改善していくことは褥瘡などの予防にもつながります。清潔にすることが人間関係を円滑にする事もあります。

 施設での入浴

施設での入浴は一般浴・リフト浴・特殊入浴・車椅子浴などがあります。高齢者の心身に合わせて、入浴形態を決めていきます。従来型の施設なら入浴担当の中介助と、着替えなどを担当する外介助があります。

施設によって対応が違いますが、ユニット型であれば1人もしくは2人程度で入浴介助を行います。それぞれ施設によって対応が異なっていますので確認してください。

高齢者の入浴時の注意点

お風呂はリラックスする場所ではありますが、事故が起こりやすい場所でもあります。

入浴の場所は滑りやすく、転倒事故が起こりやすいため、十分な注意が必要です。高齢者の場合、入浴が転倒や骨折など思わぬ怪我に繋がってしまうこともあります。

また浴槽の中で溺れてしまうなどもあるので、入浴中の見守りは細やかに行います。また、脱衣場も滑りやすいので、歩行に問題ない方であっても注意が必要です。

入浴は高齢者の状態を把握して、その状態や状況に応じて入浴方法を考えていきます、一般的にはこれまでの生活習慣、留置カテーテルの有無や感染症の有無などを留意した上で、入浴方法を選択していきます。

また、入浴前には必ず、居室や脱衣場との温度差がないように温かくしておきます。極端に寒いと血圧の上昇につながる為です。また、長風呂も、血圧が低下し意識障害に繋がる恐れがあるため、注意が必要です。

感染予防のため、入浴の洗身に使ったタオル等は利用者毎に必ず交換します。入浴中にお湯が汚れた場合には必ず交換します。入浴後は必ず浴槽や洗面器等の洗浄、消毒を行い、感染予防を心がけましょう。

高齢者入浴時の手順

まず、体調を確認する事から始めましょう。具体的には血圧、体温などバイタルチェックと呼ばれている健康チェックを行います。また、傷や怪我が無いのか全身の状態を観察し入浴が可能か判断します。

次に、「今日はお風呂の日」であることを利用者に伝えます。入浴に対して拒否が強い場合は無理をしないで、その利用者に合ったアプローチで対応していくことがコツです。無理に説得しようとすると逆効果になることが多いです。

入浴が可能である場合には脱衣場までお連れします。衣類を脱いでいただきますが、必要があれば介助に入ります。ここでの留意点は、衣類を脱いだ後から入浴まで長時間待たせないことです。準備することがあれば脱衣の前に準備を済ませておきます。

事前に入浴までの手順を確認しておくと現場で慌てません。浴室へ誘導する際にも足元への配慮の声かけを忘れないようにします。また、滑ること以外にも、冬場であれば床が冷えていることも考えられます。利用者に「冷たくてひやっとするかもしれません」と一声かけることを心がけましょう。

浴室のシャワーチェアも冷たくなっていることが多いので必ず温めておきます。シャワーチェアに座る際も、バランスを崩すこともあるため、見守りまたは手すりへの声掛け、介助を行います。

シャワーの温度は、いきなり冷たい水や熱いお湯をかけないように介護士の肌で確認します。御本人にお湯の温度がいいかの確認をします。お湯はゆっくり足元からかけて全身へかけます。

洗髪は必ずお湯をかける前に、頭からお湯をかける事を口頭で伝えます。充分にお湯をかけ洗髪をします。ここで大切なことは爪をたてないで、やさしく洗う事です。次に洗身はスポンジに石鹸をつけ全身を洗います。

腕、胸、おなか等、本人ができるところはやって頂きます。あくまで自立支援なのでできない所をフォローしましょう。例えば、背中や頭です。陰部、足の裏は最後の方に洗いましょう。

全身をシャワーで流した後、浴槽に入ります。浴槽に入る際は、介護士が必ずお湯の温度を確認します。火傷防止の為です。長風呂にならないよう会話対応をしながら楽しい時間になるよう働きかけます。

浴槽からでたら、できるところはご自分で体を拭いて頂きます。自立されていても入浴後はふらつき等がみられることもあるので、必ず見守ります。入浴後は水分補給を忘れずに行うようにしましょう。

まとめ

入浴は気持ちよく、楽しく安全に入る事が大切です。夏場と真冬には温度調節が大変ですが、入浴を楽しみ待っている方々のために、快適なお風呂づくりを進めていくことはとてもやりがいが持てます。

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