言語障害のある要介護者とのコミュニケーションについて

介護 コミュニケーション

要介護者の中には脳梗塞や脳出血の後遺症で言語障害、失語症の方が多くいらっしゃいます。
言葉が理解できない、上手く発音ができないといった障害があり、コミュニケーションが取りづらく、思うように介護ができないこともあると思います。

言語に障害があり上手く発語ができなくても、気持ちや考え、感情はあります。
その為、要介護者は「自分の希望や気持ちを上手く伝えられない」「思っている言葉と違う言葉が出てくる」と、伝わらないイライラや、もどかしさを抱いています。

言葉が出ないことにより、人と距離をおき、言葉が不明瞭なので発語しなくなり、よりいっそう孤独感やストレスを感じるようです。
中には理解してもらえずに、怒り出す方もいらっしゃいます。

人と距離をおき、怒りっぽくなると、うつ病や認知症などの他の病を招きかねません。
そのため、今回は言語障害(失語症や構音障害)の方とのコミュニケーションが上手くできる方法について紹介していきます。

■これから話し始めることを伝える             

言葉を理解しにくい傾向のある要介護者には、まずは「お話してもいいですか?」というように、これから話を始めたいというこちらの意思を伝えるようにします。
そうすれば、要介護者もこちらと会話をしようと集中してくれるようになります。

また、早口で話しかけると相手は理解しにくいことがあります。
そのため、ゆっくりと話しかけることで、しっかりと理解してもらうことができます。
早口で何度も声をかけることは、要介護者の負担にもなりますので、必ず心掛けてほしいポイントです。

また、文章が長いと分かりにくく理解しづらいことがあるので、わかりやすい単語で簡単な文章での声かけを心がけましょう。
それでも伝わりにくい場合には、要介護者の状況に合わせて、ゆっくりとはっきり声をかけるように配慮していきます。

■回答しやすい質問や選択肢で話す

ある程度、こちらが言っている言葉は分かるけど、言いたい事は言葉にだせない要介護者には、「はい」「いいえ」などで回答できる質問をしたり、いくつかの選択肢で回答してもらいます。
番号を活用しても回答しやすいでしょう。

失語の方でも頷きや首を振ることで思いを伝えることができます。             

■馴染みのある言葉を使う

要介護者に合った言葉で声かけをするようにします。
年齢や方言の特徴があれば、要介護者の言葉に合わせるように配慮することで、聞き取ることもわかりやすくなりますし、スムーズなやり取りが期待できます。

伝わりにくいことは、絵や文字を書いて頂いたり、ジェスチャーを取り入れる工夫もおすすめです。

■話題を混合させない

言語障害を持つ方にとって、発語だけではなく聞き取り理解するまでに時間を要することが多いので、1つの話題についてゆっくりとやり取りする必要があります。
時間がかかっていても、しっかりと理解しようとされていることがあるので、急に違う話題を声かけないように注意が必要です。 

■大事なことはメモに書いて渡す   

言葉は理解できても、高次機能障害などで記憶障害もある場合は忘れてしまいます。
大切な内容を伝えたい場合には、紙に書いたものを渡しておくと良いでしょう。

要介護者本人も不安を抱えていますので、紙に書いて残すことは本人にとっても安心できるポイントになります。

■代弁は控える

要介護者は内面では一生懸命理解しよう、伝えようと頑張っているものです。
応答に時間を要していても、介護者が代弁してしまわないように心がけましょう。

要介護者が自分の言葉で答えようとしているにも関わらず、先回りして介護者側が代弁してしまうことがあります。
自分自身の言葉で伝えたいと思うにもかかわらず、先取りされたら傷ついてしまいます。

■会話ツールを利用する

失語症の症状によっては、発語が難しい方や、言葉自体の理解が乏しくなっている方もいらっしゃいます。
しかし、意思伝達は必要不可欠です。

できる限り要介護者の気持ちを汲み取れるよう、こちらの言葉も伝わるように努力工夫が必要です。
障害の自助具等から合うものを見つけたり、身近にできる絵でのやりとりや、ジェスチャーなどを利用しましょう。

■まとめ 

言語障害のある要介護者は、今まで話が思うようにできていたのに話ができなかったり、言葉の理解が難しくなり、とても辛い思いをされています。

若い人であればスマートフォンやパソコンなどで意思表示できる手段は多くあります。 
しかし、高齢者となるとスマートフォンなど新しい事にチャレンジするのは難しいという声が多く聞かれます。

介護する側が親身になり言葉を引き出してあげたり、文字盤や絵カードを活用したり分かりやすく言葉で話をすることが大切です。 

また、絶対にしてはいけないのが、「言葉が出ないから」、「言ってもあまり理解できないから」と除け者のようにすることです。
声かけはどんどん行って、少しでも発語が増えるようにして下さい。
言語のリハビリもありますが、基本的な言葉の練習や理解を訓練します。 

リハビリはもちろん効果的ですが、日常的な会話を多くして身振りやジェスチャーでその方がどのようなコミュニケーション手段が一番わかりやすいのか、本人が意思を伝達しやすいのか発見してあげることがコミュニケーションをしやすくするための近道です。

1人1人に合ったコミュニケーションを見つけ出すことで統一した介護ができます。
言語障害のある要介護者と上手くコミュニケーションを図り、信頼関係を築いて下さい。

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