介護老人保健施設での看護師の仕事と役割

入所施設にも種類は色々ありますが、ここでは介護老人保健施設について説明していきます。この施設では、利用者に対して、基本的に3カ月という入所期間を設け、個々に合わせてリハビリを提供することにより、身体の機能回復を目指していきます。

■介護老人保健施設は何をしているところ？

1日の生活パターンは、食事や排泄、入浴などの部分は他の入所施設と大きく変わることはありませんが、リハビリを重視するために「自分でできる箇所は自分でおこなう」ことを前提とする為、職員はそれに沿ってケアをおこないます。

また、理学療法士（PT）や作業療法士（OT）、言語聴覚士（ST）が駐在していることが大きな特徴です。レクリエーションも主に身体を使うプログラムを多く取り入れています。

場所によりますが、利用者受け入れ人数にも差があり、概ね50～100床あたりが主となっています。

そして、介護老人保健施設は医療法人として運営していますので、病院または診療所と併設している場合が多く、主治医もそちらで管理している場合が多いので、連携をとりやすいことが特徴です。

■介護老人保健施設を利用する方の特徴

主に利用者は残存機能回復のリハビリを希望して入所を希望され、入所と同時に施設ケアマネジャーがケアプランを作成します。そしてケアプランに沿って理学療法士などがリハビリ内容を作成、提供し、効果や状態を報告していきます。

認知症の程度、身体の状態に合わせて、入所フロア、居室なども細かく分けられています。

場合によってさまざまな利用者が入所されますが、基本的には在宅復帰を目的にしていますので、リハビリを受けたい方が中心となります。

設置された運動マシンや歩行訓練、個人に合わせて車いすなどの用具を調整したり、居室内の配置を利用者のADLに合わせて設置する為、比較的最新の福祉用具を用意している施設が多いです。

例えば、片麻痺の利用者の車いすの場合、身長に合わせて車いすの座面の高さを調整し、健側（体を動かせる方）のフットレストを外して、自ら車いすを操作して自走できるように促します。

同時にショートステイの枠を設けている施設も多く、数日～数週間の間にリハビリを受けて退所される方もいらっしゃいます。

また、通所リハ（デイケア）も併設している施設も多いので、通所リハを利用していてそのまま入所も検討される場合もあります。

■介護老人保健施設での看護師の仕事と役割

○勤務体制

介護老人保健施設の看護師は24時間駐在することが義務付けられている為、日勤に加えて夜勤業務があります。場所によりますが、2交代と3交代のシフトになっている場合があります。基本給に加えて、夜勤手当などがありますので、給料はアップします。

また、年末年始の出勤の際には、年末年始手当をつけている場所も多いようです。直接的に介護（移乗、排泄など）業務は介護職も駐在している為、量は少ないかもしれませんが、夜勤時には介護をおこなうケース（パッド交換など）もあるかもしれません。

○介護老人保健施設での看護師の主な業務

介護老人保健施設で主におこなう業務として、毎日のバイタルチェック、医療処置などがあります。医療処置といっても病院ではないので、処方されている薬などで患部の処置（褥瘡処置、軟膏処置、浣腸、バルンカテーテル、ストーマ、インスリン、爪切りなど）を施設の設備に応じて行うことが中心となります。

時には導尿、点滴、胃ろうの管理もあると思います。また、朝、昼、夕、就寝前に服用する薬（眠前薬）分けの作業もあります。利用者の状態変化によって、介護士から報告を受け、対応を判断し、医療機関と連絡調整する場合もあります。

また看護記録を作成し、交代時に申し送りをおこないます。利用者の状態や経過観察の報告などをおこないます。

■まとめ

介護老人保健施設は、他の入所施設と比べて看護師の人数も多くなっています。業務に関して不明な点を看護師同士で話し合って共有したり、悩みを相談できることなどは大きな強みです。

また、以前病院に勤務していた方や、育児が落ち着いた方が復帰されるケースも多く、看護師に人気のある施設です。「夜勤は不安」「パートでの数時間勤務から慣れてみたい」という方の場合も、話し合いに応じてくれる施設も多く、バックアップしてくれます。　

利用者の様子が急変した場合でも、病院や診療所が併設しているという安心感は大きく、その理由でこの施設を選ぶ看護師もいます。看護師資格または准看護師資格をお持ちの方で、施設勤務を考えていらっしゃる方は、ぜひ検討してみてください。